父上のいとこの奥さんが入院中です。退院まではまだしばらくかかりそうですが、おばちゃん本人はともかくとして、その間大問題なのがおじちゃんの方。生活力ゼロなのにプライドはあるので、現在自宅のお風呂は『壊れている』という設定になっているらしい。本当は全然壊れてなんかいないそうですよ。でもおじちゃんはひとりじゃ沸かせない。幸い近所に銭湯があるので通っているけど、ということはシャワーで済ます気もないのか、シャワーのお湯すら出せないのか。厄介なのは、おじちゃんも診てもらった方が絶対いいよね?というくらい、認知症的な言動をしょっちゅうすること。だから下手に火を使おうとしたりされるよりは、きっぱり銭湯通いを決め込まれた方が安心は安心なのですが。
心配なのか寂しんぼなのか、ずっとおばちゃんにつきっきりで病院に泊まり込んでいて、家にはお風呂と着替えと犬の世話に帰ります。このあいだお見舞いに行った時、「じゃあちょっと帰ってくる」と言って出掛けていったものの、家の鍵を病室に忘れていました。慌てて電話して、私が鍵を持ってエレベーター前で待っていたら、何を思ったのか「一緒に来てくれへん?」。荷物が届く予定もあるし、私に留守番させてわんこの散歩にでも出るのかな、と思って一緒に家までタクシーに乗り込みました。
ちなみにおばちゃんから何度も繰り返し指示された予定はこうです。タクシーで帰り、荷物を受け取り、銭湯に行き、晩ご飯を食べ、電車で病院に戻る。しかし自宅に到着し、おじちゃんはタクシーの運転手に指示します。「すぐ病院に戻るから待ってて」。…うん?何だろう、私だけ戻らせる気かな、じゃあ何のために連れて来られたのだろう、と疑問いっぱいのまま、とりあえずわんこを構う私。すると10分もしないうちにタイミングよく宅配便が届き、「よし、届いたー」と箱を見せてくれたのち、ふと不思議そうに私の顔を見て「…澄ちゃん何のために来た?」。ですよね!言うと思った!おじちゃんが来いって言ったんですよ!「あ、そうかー」。いいの?リアクションそれだけで?
何かいろいろ不安なんですが、もしかしてタクシー待たせてるのも忘れてないかな、と確認したら、「うん、今すぐ出る」だそうです。お風呂は?着替えは?ご飯は?助けてメリー(犬)。どう突っ込んでいいものかもわからず、在宅時間15分くらいで再びタクシーに乗り込み出発しますが、10秒もしないうちに「あ、ちょっと待って、止めてください」。今度は何だ?と思ったら、1人で病院に戻ってくれと言い残してタクシーを降りるおじちゃん。ミッションを思い出したようです。本当に私は一体何だったのでしょうか。
あとからおばちゃんが「若い子と一緒にいたかったの?」と聞いてみたところ、「うん」と答えたそうな。そうですか…。シンプルでいいお答えだと思います。私は待たされているあいだ、うっかり忘れられておじちゃんだけタクシーで去っていったらどうしようかと思っていたくらいなので、一緒に家に戻ったことを覚えていてくれただけで、何かもうそれで充分な気すらします。
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